利益の三つの顔を知る

1. 目標という顔 
会社には「利益目標」というものがある。利益を出さなければ会社の評価は下がる。配当は払えないし、株主は不満だ。会社は立ち眩みしてしまう。だから利益を目標と考えるのは正しいことである。だが、利益は重要な目標ではあるが、けっして会社の目的そのものではないことをゆめにも忘れてはならない。

2. 手段としての顔
利益は、「どれだけ」と「何のために」の二つが重要である。
目標であるだけの利益には、「どれだけ」しかない。肝心なのは「何のために」である。利益は、会社を持続的に成長させるために必要な投資の原資である。長寿企業を創るための重要な資源が手段としての利益なのである。社員品質を高めるための教育訓練費用、持続的成長を担保するための設備投資の費用、新商品開発の費用など、必要な投資の原資は利益から捻出するのが、王道経営の基本的な資源配分である。

3. 結果としての顔 
最後に来るのが利益の「結果」としての第三の顔である。利益は黄金のループの結果である。先に紹介したドラッカーの言葉どおり、正しいプロセスを経た結果が、手元に残った利益である。凡人は実のでき具合だけに関心を奪われ、できがよければよろこび、悪ければ失望する。一流の人は、実のでき具合を見て、よくも悪くも木の状態を思いやる。悪い木によい実がなることはあり得ないからだ。結果だけを見て一喜一憂するのは三流の人である。

 利益は正しいプロセスの結果であるが、もうすこし違った角度からも利益を生み出す要因を見ていこう。利益の源泉には、外部要因と内部要因がある。外部要因とはマクロ経済環境、消費者動向、規制、為替相場といった一企業ではコントロールできない要因である。内部要因は自社の事業領域と強みである。