新商品を新規顧客に売り込む!
前回、営業の現場でどんな発想が求められるかを見てみました。3つパターンを挙げ、そのうち二つを解説しました。
・A 相手を目の前にしての会話 → 大きな質問(日米半導体摩擦とか…)には、更に高いトリの視点と天の邪鬼の視点で即座に切り返す
・B みなが集まる会議での発言 → 「要はどういうことか?」には面白い(短い)例え話やキャッチフレーズを事前に準備する
でした。
次の、C提案書作り、の前に、最難題であった「新商品の新規顧客への売り込み」を考えてみましょう。これを突破するのには、どんな発想が必要とされ、それをどう生み出せば良いのでしょう。
新商品には実績がありません。新規顧客に対しては人間関係も情報もありません。
「あかり安心サービス」による
パナソニックの「サービス化」
2002年4月、パナソニック電工(当時は松下電工)は「あかり安心サービス」の提供を開始しました。
蛍光灯を従来のように単品売りするのではなく、事業所向けにリースし、回収・再処理する定額サービスで、サービス自体は、顧客(事業所)が困っていた「産業廃棄物の排出者責任」がなくなる、「グリーン購入法」に対応する、というもので画期的なものでした。
でも、困ったのは販売です。この商品、誰にどう売るのかが難しい。
パナソニック電工もその販売代理店も、「サービス」なんて売ったことがありません。売ったら終わりの「モノ」が中心(*1)で、せいぜいアフターサービスがあるくらい。サービスは、まるで未知の世界です。
それに潜在的な顧客は全事業所600万。その割に普通は蛍光灯の交換は少なく、一気に入れ換えるサービスの導入提案は簡単ではありません。つまり、まわりみんなが(潜在)客なのに、滅多に買ってもらえない商品だったわけです。
*1 主な取扱商品は住宅設備機器(キッチン・バス・洗面・トイレ・給湯・収納等)と照明機器