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アマゾンのクラウドサービスが独走している理由

――アンディ・ジャシー アマゾン・ウェブ・サービスCEOに聞く

【第143回】 2017年3月24日
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米CIAもAWSを使っている

――大企業からの引き合いが増えたという5年前に、何かがあったのでしょうか。

 AWSは開始当初、スタートアップをターゲットとしていたものの、いずれ最も大きな顧客が大企業や政府になるだろうということはわかっていました。ですが、彼らがクラウドに事業基盤を移すにはかなりの時間、5年程度はかかることもわかっていました。非常に大きなアプリケーションのインフラを移行するには、それぐらいの検討時間が必要だったのです。

 大企業は大きな転換には保守的で、移行を決めてからも慎重に検討していくのは当然のことです。既存の事業基盤を維持しながら変革することが必要だからです。

 もう一つ重要なことは、大口の顧客が検討を進める間、我々は非常に高いパフォーマンス、高いセキュリティをもって運用してきたということです。その結果、先行して大規模な導入を決める企業が現れ始めました。

 たとえば、それまで自社のサーバでアプリケーションを開発していたネットフリックスが、全アプリAWSに移行することを発表したように、それが実際に可能だということを示したことがシグナルになり、大企業もいよいよ移行できるということを認識しました。さらに米国の情報機関であるCIAがAWSをビジネスに使うということを発表したことで、セキュリティの高さも証明されました。多くの企業が、CIAも使うのなら、確かなものだというお墨付きを得ました。

セキュリティやデータガバナンスでも
世界最大規模の管理体制を敷く

――クラウドが社会インフラとしての重要性が増す中、AWSのセキュリティに関して新たな取り組みはありますか。

 開始当初からセキュリティはAWSの最重要課題のひとつでした。その考えは今も変わっていません。常に新しい機能を追加し、信頼性も向上させています。したがって、現在の規模のセキュリティチームを他社で抱えるのはもはや難しいほど、体制は拡大し増強しています。

 厳格なセキュリティを維持するためのアプローチとしては、過去30年間の企業たちがやってきたアプローチと同じ方針でやっています。物理的なデータセンターへのアクセスも厳しくしています。また顧客がAWSを解約したあと、そのデータをクリーンにワイプすることも行っています。顧客が選択できる追加のセキュリティの機能も提供しています。

 またデータ処理の記録も、非常に粒度の細かいアクセス管理をしています。個人がどこでなにを操作したのかを把握できるほどの厳格な管理が可能です。また暗号化のキーを確保する方法は何通りか用意しています。すべてのサービスを暗号化することもできます。コンプライアンス対応も行っています。「クラウドトレイル」というサービスを開始しました。これはユーザーのアクセスログを得ることができます。AWSにデータを預けておけば、どんなに昔にさかのぼっても詳細なログデータを取り出すことができます。これは大きなメリットです。

 また、CISOの心配事は、社内のどこかで悪いサーバが動いているのではないかということです。AWSなら1つのAPI(プリケーション・プログラム・インターフェース)で、どこにいてもアクセス状況やデータの動きを取り出して一元管理できます。オンプレミス(自社運用のシステム)に比べて、クラウドの可視化のレベルは全く違うのです。

――来年GDPR(EUの個人データ保護規則)が施行されますが、対応はできますか。

 これらの情報管理機能で、GDPRにも対応できると確信しています。GDPRに限らず、我々はこれからもすべての国や地域の法律に完全に準拠していきます。

――毎年50%の成長率は、今後も続けられますか。そしてどこまで成長するのでしょうか。

 将来を予測することはできませんが、これからも意味ある形で成長を続けていけると楽観視しています。なぜなら今日お話したように、大企業や政府の大規模なクラウド移行は今後本格化するからです。

(取材・文/ダイヤモンドIT&ビジネス 指田昌夫)

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