2017年3月7日、原宿で『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』の刊行記念セミナーが開催された。当日は企業経営者や経理担当者が参加。本連載の読者の方にもご参加いただいた。
講義はクラウド会計の「超」実践的な内容を扱う90分。クラウドという概念の基礎から実利に直結する使い方、見落としがちなソフト導入の注意点を土井貴達公認会計士・税理士、米津良治税理士が説明した。今回は番外編として、セミナーの内容を凝縮してお送りする。(ダイヤモンド・オンライン編集部 松野友美)
クラウドサービスの基礎の基礎
導入の壁は「セキュリティ」
クラウドと聞くだけで、「ITに詳しくないから……」と敬遠することなかれ。『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』では、IDとパスワードさえあればどこにいても使えるサービスを「クラウド」と定義している。Gメールやライン、フェイスブックは全てクラウドである――そう聞くと身近に感じられるのではないだろうか。これらのサービスは操作端末のパソコンや携帯電話を紛失、または破損しても、通信されたデータがサーバー上に記録されているので、すぐにデータを復旧できるという最大の特徴かつメリットを持つ。
コンピュータにソフトウェアをダウンロードしてから使用するものは、クラウドとみなしていない。IDとパスワードを必要としないインストール型の携帯アプリや、会社のパソコンでしか使えないオンプレミスのソフトはクラウドに当たらない。今後はクラウドと連携したサービスが拡大すると見られ、インストール型に固執する必要はないのだ。
どこにいてもログインするには、インターネット通信が必須という「デメリット」があるが、IT環境が整っている日本では実質的に不便に感じることはない。
不便のないクラウドソフトだが、職場の導入には温度差がある。一体どんな壁があるのか。