夏祭りや紅葉
アイドルコンサートなども目的

 夏祭りや秋の紅葉シーズン狙って来日したいという声も高まっている。夏祭りは日本全国各地で行われているが、東北3大祭の「ねぶた祭」「竿灯」「仙台七夕祭」のほか、博多どんたく、京都の祇園祭などにも興味津々だ。何度か外国を訪れてその国の「通」になってくると、首都ではなく地方都市にこそ魅力を感じるという日本人がいるのとまったく同じ現象だ。

 北京在住のキャリアウーマンの女性は「日本の主な観光地はほとんど回りましたが、お祭りはその時期にしかやらない特別なもの。地方のホテルや旅館も予約が取りにくくなるので、かなり前から計画を立てるんです。浴衣や着物を着て見に行くのが夢」と話していた。

 『AKB48』や『嵐』などのアイドル、人気声優などのコンサート、B級グルメやご当地ラーメン、お弁当などの全国グルメフェスティバル、東京ドームで毎年開催している世界らん展なども同様で、「ほとんど日本でしか開催していない限定もの、そこに行けば一堂に揃っていて味わえる料理、お祭り気分のライブ感なんかが魅力ですね。計画を立ててその時期に合わせて航空券のチケットを取ります。だから、春節とか国慶節なんて、まったく関係がないんです」(上海の20代の会社員)という。日本では春節や国慶節になると中国人を意識した「熱烈歓迎」という赤や黄色の看板や横断幕を見かけるが、成熟層はそんなありきたりの団体さん向けのものには見向きもしないのだ。

中国社会は急激に成熟化
「メンツ消費」は減少している

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 爆買いが終わったといわれて久しい。むろん、まだ団体観光客は来日する全中国人観光客の半数ほどはいるし、免税店に行くのが目当てという人が消滅したわけではない。春節や国慶節でなければまとまった休暇が取れないという人もまだ多いだろう。中国は分母が巨大なだけに、それが完全になくなることなどありえないし、それを否定するものではない。

 だが、一つのものを大量買いするステレオタイプの中国人が徐々に減少している背景には、中国社会の急激な成熟化があり「メンツ消費の減少」も関係している。同僚や友だち、親戚に買う(買わなければならない)大量のお土産のために時間を費やすより、自分の楽しみやプチ贅沢のために旅行を楽しむ人々が急速に増えてきていることは確かだ。それが「春節離れ」「国慶節離れ」という現象として表面に出てきているのではないだろうか。