中国の大型連休、春節の休暇が始まった。かつては多くの中国人観光客が来日し、「爆買い」を行ったが、昨今の中国人観光客のニーズは多様化しており、もう以前ほどの活況は見られない。なぜ中国人観光客の趣向は、かくも移り変わりが激しいのだろうか。そもそも中国人の生き方は、日本人とはスピード感がまったく異なるのだ。(ジャーナリスト 中島 恵)
爆買いは終わった
速すぎる中国人の変化
今年も春節(中国の旧正月)がやってきた。数日前から街中で中国人観光客を頻繁に見かける、という人も多いだろう。10月の国慶節(中国の建国記念日)と同様、中国では約1週間の大型連休になるからだ。
先日発表された最新の統計によると、2016年は637万人もの中国人観光客が来日。2年連続で全外国人中トップだった。しかも、「爆買い」と騒がれた15年よりも27%も上回った。昨今、「爆買いは終わった」との報道が多く見られるが、中国人観光客数自体は増えている。
彼らの興味は買い物だけでなく、星つきレストランでの食事や文化体験など幅広い分野に広がり、急速に訪日期間中の行動の中身が変化していることは、1年以上も前から指摘してきた通りだ。
だが、こうした「あまりにも速すぎる中国人の変化」はなぜ起こるのだろうか? 日本人にはめまぐるしくて、なかなか理解できない。日本人と中国人では、そもそも「生きているスピード」がまったく異なるからだ。
「中国人の生き方はジェットコースター並みに激しく、日本人の生き方はぬるめの温泉のように穏やか」――。