周囲のA氏に対する反応は、冷ややかなものでしたが、「解雇されたのだから、まあしょうがない。目をつぶろう」という雰囲気が漂うなか、秘書である私にも冷たい視線が注がれました。

権力を持つ人は何をしても
許されるのか?

「権力を持つ人は、何をしてもいいのだろうか」

 この出来事をきっかけに、私は、「権力(パワー)」とは、いったいどんなものか、観察するようになっていきました。

 組織には、組織図が存在します。そして、組織図が存在する限り、人と人の間に「権力(パワー)」が生まれます。

 リーダーの側で働く秘書は、組織での権力のバランス(パワーバランス)を常に意識して、仕事を進めていかなければなりません。

 時には、目には見えない、表面的には現れない人と人との間の微妙な権力バランスをつぶさに把握しておく必要があります。そうしないと、仕事に支障を来してしまうことがあるからです。

 有能な秘書は、そのバランスを的確に見抜く力を持っています。また、人と人とのパワーバランスの中で、どう振る舞えば、上司が目的達成のために優位に仕事を進めていくことができるのかを理解しています。

 組織では、リーダーには「権限」が与えられます。ここで言うリーダーというのは、決して、経営層の方たちだけのことを指しているわけではありません。「部下」をお持ちの「上司」の方であれば、全員あてはまります。「上司」と「部下」という上下関係が成り立った瞬間に、そこに「権限」が発生するからです。

 もしかしたら、次のように思っている人もいらっしゃるかもしれませんね。

 「まだ課長だし、役員ではないから」
 「部下といっても2人しかいないから」
 「役職についていても、そんなに権限を持っていないから」

 ですが、「部下」をお持ちの「上司」の方は、すでに数多くの「権限」を持っていることを十分に理解して、部下に接しなければなりません。