身近な商品を観察すれば
大手コンビニの戦略が分かる

 大手3社の動向は、私たち消費者の身近なところで実感できる。

 3月9日、セブン−イレブンは自社プライベートブランド(以下、PB)「セブンプレミアム」の刷新を発表した。現状の3600品目に、生鮮食品など新たに約600品目を加え、さらなるラインナップの強化を図る。

 07年の発売以降、好調を極めている「セブンプレミアム」。チルド品の「金のハンバーグ」、冷凍食品の「具付きつけ麺」などのヒット商品を連発し、コンビニ商品の新たな価値と可能性を切り開いてきた。品目は次第に拡大し、現在は冷凍食品やスイーツ、アイスクリームまで幅広く展開。セブン-イレブンに追随する各社とも、PB商品開発に注力している。コンビニ商品におけるPB率は、いまや5割を超えているという。

「当初、PB商品は“安いだけで低品質”というネガティブなイメージがありましたが、その認識はすでに過去のもの。今、消費者がPBに求めるものは、“安かろう悪かろう”ではなく、“確かな品質+美味しさ=ハイブリッド商品”へ変化しています」(田矢氏)

 こうした変化は、11年の東日本大震災がターニングポイントだという。

「震災時の被災地で、コンビニがライフラインとして機能したことにより、コンビニ食品も安心・安全かつ美味しいということが認知され、PB商品の評価につながりました。PB商品のラインナップがここまで飛躍的に増えたのも、震災以後数年でのことでした。これは、コンビニ商品の新たな進化へのターニングポイントになっているほどです」(田矢氏)

 コンビニ各社とも、将来的にPB商品率7~8割を目指していく見込みだ。こうした商品トレンドからも、業界の現状が垣間見える。

「コンビニATMやカウンターコーヒーの登場、イートインコーナーの併設など、コンビニという業態は常に進化を追求してきました。しかしこれからは、文字通りのコンビニエンスという価値だけでは生き残れません。ただの“便利”のみであれば、消費者はわざわざ外に出かけることもなく買い物できる時代において、“その店に足を運ぶ価値”としていかに魅力的なオリジナル商品を提供できるかが勝負の分かれ目です」(田矢氏)

 PB商品には、スピーディーに変化していくコンビニ業界の内情がダイレクトに反映されている。行きつけのコンビニでも、商品棚のラインナップや移り変わりをチェックすることで、日本経済とコンビニ業界の現状が見えてくるはずだ。

◆田矢信二(たや・しんじ)
コンビニ評論家。セブンイレブンとローソンでの現場経験を活かし、出店調査・インバウンド調査等に関わり、企業講演・セミナーなどにも呼ばれる。独自の情報をブログで発信。その口コミが評判で、テレビ・ラジオなどにも出演。代表著書『セブン-イレブン流98%のアルバイトが商売人に変わるノート』『ローソン流 アルバイトが商売人に育つ勉強会』。調査会社のサーベイリサーチセンター所属。