セブンが君臨するコンビニ業界で
反転攻勢をかけられる2人の経営者
予めお断りしておくが、今回の話は「火のないところに煙をたてる、もしもの話」だ。ファミリーマートとローソン、ひょっとすると合併するといいのではないかという、筆者の空想上のお話である。
業界の事情通であれば、即座に「ないない。それはない」と大きく手のひらを振りながら否定するレベルの話である。しかしこの両社、もし業界トップの座を確実に狙いたいのなら、まさに今電撃合併の最大のチャンスが訪れていると思う。どういうことか説明しよう。
コンビニ業界で、収益力も集客力も店舗の規模も業界トップなのは、全国に1万9000店を展開(2016年10月現在)するセブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン)。これを追いかけるファミリーマート(以下、ファミマ)はサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスを合併し、コンビニ3ブランド合計でセブンと肩を並べる1万8000店超の規模になった。そしてこの経営統合により、ローソンは業界2位から3位へと一歩退くことになる。
さて、店舗数で並んだファミマがセブンを追撃できるかというと、これは疑問である。なぜなら、トップを行くセブンの武器は集客力であり、それを支える商品開発力である。規模だけ同じでも店舗あたりの売上高には大きな差がある。これを埋める手立てがなければ、新生ファミマは「図体は大きいが業界2位」という座から脱却できない。
それをよくわかっているファミマが、反転攻勢を狙って招へいしたのが澤田貴司社長だ。かつて、ユニクロを展開するファーストリテイリング(以下、ユニクロ)の柳井正社長の右腕として辣腕をふるい、独立後は企業再生を本業とするリヴァンプを立ち上げて、ロッテリアの建て直しに成功した人物である。
さて、リヴァンプと言えばもう1人共同経営者がいた。柳井社長に抜擢されユニクロの社長に就任した、玉塚元一氏だ。ユニクロをさらに成長させる期待を背負っていたが、玉塚氏の安定成長路線が柳井氏の逆鱗に触れたらしく、道半ばでユニクロを去ることになる。