アーティストにとっても会社へ通うのは新鮮な体験のようで、初めて通勤電車に乗った人もいました(笑)。現代アートでは、アーティストと見る人が“今”という時代を共有しているので、作家がコミュニケーションしようとするんです。受けを狙おうとか、感動させてやろうとか、変なやつと思われようとか。そんな人間くさいところも魅力です。

──審査はどうやるのですか?

 審査員は、私の他に4人ほどいて、美術関係者以外に、ビジネス畑の方を1人入れます。100個ぐらいプランが来て、それぞれのコンセプトが文章で書かれていて、簡単なスケッチが付いています。「これいいよねえ、これちょっとねえ」とか、みんなで話し合いながら、自分の好きな作品で選んでいくんですが、意外とビジネス出身の人の声が大きくて、けっこうみんな引っ張られます。段階を踏んで絞り込んでいって、三つぐらいになったら、最後はいっせいのせいで指さして決まり。完全に公平な多数決で、僕だけ黄金票を持っているとかもありません(笑)。

──アートは、ビジネスにも役立っていると思いますか?

 私にとって、アートは音楽と同じように当たり前のものなんです。なので、ビジネスにとってというより、人間として生きていくのに不可欠なものだと思っています。

 前にも話したことがあるんですが、アートってうんちのようなものだと(笑)。誰もがうんちしますよね。アートも人間から出るもので、自然なものなんです。

 ART IN THE OFFICEの選考でも、いろんな意見が出るけど、最後はみんなでバンと指さして決まる。その場の乗りでスパークして、ポロッとこの作品に決まりましたと。うんちみたいでしょ(笑)?

 ビジネスもいろんな相手とコミュニケーションしながらやっていく。そこが現代アートと似ています。

 新しいオフィスに引っ越して、スペースが広くなるので、いろいろ作品を展示しようと思っているんです。その上で、「僕はあの作品の部屋でミーティングしたい」とか、「今日は厳しいことを言うからあっちの作品の部屋でやろう」とか、そんな動きがアートに刺激されて出てきたら面白いなあと思ってます。