退職後の生活設計は60歳前に
考えるのが老後貧乏回避の早道
前回の本コラム(3月22日)がYahoo!トピックスに掲載された。タイトルは『退職金の受け取りは「一時金」と「年金」のどちらがトクか』。朝の通勤時間に重なったためか多くの人に読まれ、日頃連絡のない友人・知人からからメールが届たり、読者からの問い合わせが続いたりと、いつになく反響が大きかった。
執筆しているときは、このタイトルで興味を持って読んでくれるのは退職金を受け取る直前の限られた人と想定していたが、実際には40代から60代まで幅広い年代の人に読まれたようだ。みなさん、気になっていたのですね。
前回のコラムでは6パターンの受け取り方法を試算したが、「年金受け取り」の運用率が2%であったとしても、すべてのケースで「一時金受け取り」が有利という結果になった。収入が増えるほど税金と社会保険料、とりわけ国民健康保険料と介護保険料の負担が想像以上に重たいのである。
これから退職金を受け取る人からの問い合わせの多くは「試算を含めて退職後の生活設計をアドバイスしてほしい」というものだったが、中には「試算だけしてほしい。60歳前半は再雇用で働くから退職後の生活設計のアドバイスはまだ要らない」という人もいた(ちなみに試算だけのサービスは行っていない)。
定年後に働く予定があったとしても、60歳前にリタイア後の生活設計を考えるのはとても重要なことであり、先延ばしにするほど「老後貧乏」に陥る可能性が高くなることを知っておいてほしい。
大切なのは、60歳以降の収入を具体的に知り、それに合わせた支出プランを立てること。まず、収入の変化から見ていこう。次ページの図は、定年以降の収入のイメージ図だ。60歳以降は、まるで「崖」に落ちるように収入がダウンする時期が2回ある。私はこれを「収入ダウンの崖」と呼んでいる。