バラエティ番組は、なぜ、
オネエ系タレントに寛容か?

オネエ大活躍のテレビ番組はLGBT理解に寄与するかテレビにはあらゆる人が出演している 写真:地球の歩き方T&E

 テレビ番組の“出演者”という観点で見れば、「オネエ」と称されるタレントが高いバリューを持ち、いまや、テレビ以外のメディアでも確たるポジションを得ていることは周知のとおり。

 マツコ・デラックスさん、ミッツ・マングローブさん、IKKOさん、はるな愛さん……いまや世代を問わずに知られた顔と名前だ。

「もともと、テレビというものは、異質な人――つまり、一般人が日常生活であまり見かけなかったり、出会うことのない人たちがたくさん登場するメディア。だから、オネエ系タレントがテレビ番組に出るのは自然な流れ。制作サイドからすれば“正攻法”のキャスティングなのです」

 エンタテインメント・ジャーナリストの麻生香太郎氏は、そう解説する。

“異質な人”と言えば、“オネエ系”だけではなく、テレビは、見た目に特徴のあるお笑いタレントやビジュアル系アーチストも普通に映し出していく。顔を白塗りにしていたり、突飛な衣装を着ていたり……街中ではそうそう見かけない人たちだ。オネエ系タレントは、あくまでも、そうしたテレビ出演者の“多様性”の一部であり、近年、そのボリューム(番組露出)が増しただけと言っていい。

「特に、オネエキャラとして番組に出ている人は、得てして、頭の回転が良く、独自の鋭い視点を持っているタレントが多い。それが、視聴者に支持され、番組制作者にもてはやされる理由でもある」(麻生氏)

 独特な価値観があり、芸術的センスも高いので、オネエ系タレントは芸能界には欠かせない存在だと麻生氏は断言する一方で、次のような苦言も呈する。

「オネエ系タレントに限らず、テレビ局のプロデューサーやディレクターはもっといろいろな人材を発掘すべきでしょう。若手のお笑い芸人の中には、テレビに出て然るべき人もたくさんいます。いまのバラエティ番組は、一言で言えば、テレビマンの能力低下の表れ」(麻生氏)