新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』では、脳の仕組みを活用し、4回連続記憶力日本一、日本人初の記憶力のグランドマスターになった著者による世界最高峰の勉強法を紹介していきます。記憶力が左右する試験、資格、英語、ビジネスほか、あらゆるシーンで効果を発揮するノウハウを徹底公開します。

自分の目標を脳にわかりやすく理解させることができる
有効な手段とは?

 さまざまな分野で成功している人たちが、子どもの頃に自分の将来像を紙に書いて宣言していたという話を最近よく聞きます。

 本当に書いてある内容どおりに実現していたりするので驚かされます。

「目標は紙に書くといいらしい」というのは昔からよく聞く話ですが、まさに彼らもそれを子どもの頃から実行していたというわけです。

 そういう私も世界記憶力選手権で日本人初の記憶力のグランドマスターを目指したときは、紙に「必ず日本人初の記憶力のグランドマスターを獲得する!」と書いて壁に貼り毎日眺めていたものでした。

 なぜ、紙に書くことによって目標を達成する可能性が高くなるのでしょうか。私なりにその理由を想像してみました。

 脳は一日のあいだに、ものすごいスピードで次から次へと思考を続けています。

 今こう思っていても次の瞬間には違うことを考えたりしています。

 瞑想の経験がある人ならば、この感覚はよくわかるはずです。

 瞑想中は雑念をなくしたいものですが、意に反して頭の中には次から次に新たな思考が入り込んできて、よくもまあこんなに出てくるものだと逆に感心するほどです。

 そんなわけですから、ひっきりなしに新しいことを考えて働き回っている脳に向けて伝えたい自分の意志があったとしても理解してもらうのは難しいのです。

「こうなればいいなあ」と、なんとなく考えるだけでは、その思いはたくさんの思考の中にまぎれてしまい、脳はそれをあまり重要だと感じてくれません。

 そこで、全速力で走っている脳を立ち止まらせて「こうなりたい!」という意志をしっかり理解させる必要があるのです。

 一度納得すると、脳はその目的のために一生懸命働いてくれる律儀な性格も併せ持っています。

 脳の特徴の一つに「カラーバス効果」というものがあります。

 たとえば家を出るときに、「今日は赤い色のものを意識して探してみよう」と脳に言い聞かせるとします。

 すると、「今まで本当にこんなにあったのか」と思うぐらい赤い色のものが目に入ってきます。しかも、ものすごいスピードで見つけ出すことができます。

 試しに今、目を閉じて何か一つの色を探すと決めてから目を開けて周囲を見渡してみてください。すぐに、その色をした何かが目に飛び込んでくるはずです。

 脳というのは納得して命令を受け取ると、まるで熱線追尾式のミサイルのごとくその対象を探し始めるので、探す対象をあなたが目指している目標に設定すれば、脳は自動的にその目標に向かって進み始めるのです。

 そして、自分の目標を脳にわかりやすく理解させることができる有効な手段が「紙に書く」ということなのです。