反グローバル化とポピュリズム
米英では、政策実現難しく

 Brexitとトランプ大統領誕生にはいくつかの点が共通している。それは第1にはグローバリゼーションがもたらした所得格差や移民・難民の流入に対する大きな不満を持ち、現状の変革を求める人々の意識がポピュリスト的手法で政治に吸い上げられたことである。第2次世界大戦の終了後の世界を導いてきたのは自由民主主義に基づくリベラルな国際秩序を求める考えであり、米英の政治はこのような流れを主導してきた。

 ここに来て、そのようなリベラルな秩序をつくってきた既成の政党に対する不信、既成の政治指導者に対する不信、エリートに対する反感が投票に繋がった。英国の場合にはこのような意識はEUを差配するブリュッセルの官僚たちから英国の主権を取り戻そうという叫びに繋がり、「大英帝国の栄華を再び」といった強いナショナリズムが吐露されている。一方トランプ大統領も「米国を再び偉大な国に」というフレーズを用いて米国のナショナリズムを鼓舞している。

 しかしこのような反グローバリゼ―ション・ポピュリズムの勢いも時が経てば困難に逢着する。Brexitを実現していくのは英国もEU諸国も既成の政党・政治指導者・官僚であり、EUから離脱する事を英国の現実的利益に沿った形で実現していく事は途方もなく困難なことである。英国は3月末にEU離脱決定を正式にEUに通知したが、今後2年で離脱協定や離脱後の経済関係を律する協定を合意することは著しく困難であり、相当な不透明性が漂う事となる。

 米国でもトランプ政権の閣僚の多くは、グローバリゼーションから大きな利益を得た実業家や既成秩序を守る役割を果たしてきた軍人であるのは皮肉なことである。トランプ政権の政権運営に対しては伝統的政党、議会や裁判所といった既成勢力の抵抗は大きい。イスラム諸国からの入国を禁じる大統領令は連邦裁判所で効力が差し止められ、オバマケア廃止法案も撤回を余儀なくされている。また、ロシア問題を巡るFBIや議会の調査も容易ならざる事態に繋がる可能性を秘めている。