こうしたグローバル化についての変化が、人々の意識にどんな影響を及ぼしているかについて、次に、国際意識調査の結果から興味深いデータを紹介しよう。

◆図3 欧米主要先進国における世界市民意識(2013年)

©本川裕 ダイヤモンド社 禁無断転載
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 回答数の母数が多くないことから、各国ごとでは信頼性が低くなるので、上図では、フランス、ドイツ、米国という欧米主要先進国3ヵ国の合計で、階層ごとの世界市民意識についての意見を掲げた。ここから、グローバル化との関係で階層ごとにどう意識が異なっているかうかがわれる。

 何に着目するかで、以下のような3つの読み取りが可能であろう。

(1)どの階層がグローバル化の利益を享受しているか

「そう思う」(積極的な世界市民の自覚)が上層階級で多く、「そう思わない」(世界市民への反感)が下層階級に多いことから次のようにいえる。

 上層階級は、豊かな外国出身者も多く、裕福な自国出身者を含めてグローバル化の利益を得ているので世界市民でありたいと考えている。かたや下層階級は、グローバル化はむしろ不利益を生んでいると感じているので、反グローバル化の政治潮流を支持する意識が強まっている。

(2)同じ階層の中で意見の対立が強くなっているか

 上層階級では「そう思う」が多いが、同時に「どちらかといえばそう思う」や「どちらかといえばそう思わない」も多い。一方、下層階級では中間的な立場は少なく、「そう思う」や「そう思わない」という両極のきっぱりとした意見の人が多い。こうした点から次のようなことがいえる。

 上層階級ではバランスのとれた中間的な意見の人が多いが、下層階級には移民系住民も多い反面、グローバル化のマイナスの影響を受けている者も多いため、内部に世界市民派と自国ファースト派という意見の対立が深まっている。

(3)国や世界との関係で自分を位置づけているか

「どちらともいえない」あるいは「わからない・無回答」が上層階級に少なく、下層階級に多いことから、次のように言える。

 上層階級は世界の市民と考える人も多いし、反対に国の一員としての自覚のある人も多い。これに対して下層階級は、毎日の生活に追われ、国の一員とか世界の市民だとか考えている余裕がない。難民問題、経済危機、国政選挙などで社会情勢が緊迫すると、こうした下層階級が特定の政治潮流へ急に傾く可能性が高い。