首相は出処進退に触れた途端
引き摺り下ろされるもの
菅直人首相の退陣が濃厚になってきた。当初は内閣不信任案を回避し、そのまま逃げ切れるとみられていたが、実際は、あっという間に外堀を埋められ、早期の退陣を余儀なくされている。
第二次補正予算、復興支援基本法、さらに特例公債法案の成立、もしくは目処のついた段階での辞任を示唆しているものの、それさえも困難な情勢になっている。
就任からちょうど一年、またしても日本は新しい首相を選ばなくてはならないようだ。これによって小泉政権以降、安倍、福田、麻生、鳩山、菅と五代続けての短命内閣となることが確定した。
冷酷な永田町ではすでに「ポスト菅」の後継者選びが始まっている。
〈菅首相の辞任表明を受けて岡田、仙谷、枝野各氏や安住淳国会対策委員長らは8日までに「ポスト菅」について会談を重ねた。岡田、仙谷、枝野各氏は代表選に立候補しないことを確認したうえ、野田氏が新代表に最適任との認識で一致した。
仙谷氏らはこれを踏まえて自民、公明両党などに対し、菅首相辞任後の協力要請を始めた。首相が月内に退陣表明することを念頭に7月上旬にも代表選を行う日程も大筋合意した〉(朝日新聞/6月9日)
権力闘争における「レームダック」の意味を改めてかみ締める。首相は出処進退に触れた途端、引き摺り下ろされるのだ。