膝をついた体勢から立ち上がる、など日常のあらゆるシーンで腰には負荷がかかっています

 腰痛は日本の国民病のひとつといっても過言ではない。平成25年の厚生労働省の国民生活基礎調査では健康に関する調査も行われたが、自覚のある症状を答える調査では「腰痛」が男性で1位、女性で2位という結果だった。男女いずれでも首位を争った肩こりと並んで、まさに国民的疾患で、総人口の一割が腰痛に悩んでいることになる。対象を中高年に限ればもっと高い割合になるだろう。

 慢性の腰痛の原因はさまざまだが、一般的に考えられるのは腰に良くない姿勢を長時間とった、腰に負担のかかる作業を日常的に行った、などだろう。日々の生活の中で腰への負担を実感することは多いが、医学の見地から説明すると以下のようになる。

 人間は直立歩行する生物なので、腰に負担(重力)がかかるのは避けられない。直立により垂直方向にかかる力を分散させるために、背骨は直線ではなくゆるやかなS字カーブを描いている。負担が分散されるような仕組みになっているのだ。

 骨組織に目を向けると、背骨は椎骨(ついこつ)という小さな骨が連なって形成され、腰の部分の腰椎は5個の椎骨で構成されている。椎骨は「椎間板」という軟骨組織でつながっていて、重力や衝撃を吸収するクッションの役割を果たしている。腰部は重力や衝撃の影響を最も受けやすい部分とも言える。

 腰は日常生活でのほぼあらゆる動作に関わるので、腰椎と椎間板には常に大きな負担がかかることになる。さらにきつい肉体労働や、加齢、肥満、喫煙、運動不足、疲労、ストレスなどの要素が腰への負担をより大きくするのだ。