昇進すれば必要以上にチヤホヤされるもの

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」というように、部下を持ち肩書きで呼ばれる立場に昇進しても謙虚さや素直さをなくさないことが大切です。

 地位が高くなるほど、部下がこびへつらうようになり、取引先の人たちもチヤホヤするでしょうが、それで自分が特別な人間になったように勘違いして浮かれていては大切な経営判断を誤ります。下手をすると、人生を誤りかねないかもしれません。

昇進した人が「勘違い」しないためにやるべき2つのこと小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 そうした心がけとともに、昇進したらやるべき事は二つ。(1)世の中の動きを知り、変化を掴むために、自分の関心を社会の関心に合わせることと、(2)お客さまの目線を忘れずに、現場を見ることです。

 地位が上がれば上がるほど、企業内部のことだけではなく、外部環境がどう変わりつつあるのかを知ることが大切です。

 もちろん、これは社長でも同じです。自社を取り囲む環境がどう変化しているのか、そして、それを踏まえて、自社に死角はないのかということを常に考えているのが経営者です。

 経営者を目指す人も、一朝一夕ではこの能力は育ちませんから、常に外部環境の変化を意識していなければなりません。自分の関心を社会の関心に合わせる訓練は、この連載の中で何度か書いたように、新聞を1面のトップ記事から順に、大きな記事を読んでいく方法が効果的です。

 自分流に新聞をめくると経済面から、社会面から、スポーツ面からというように興味のまま読んでしまいがちですが、それでは訓練になりません。なぜなら新聞記事は読んでほしい順=社会にとって重要な順に毎日レイアウトされているからです。自分が読みたい記事だけを拾い読みをしていると、世の中にとって重要なことを読み飛ばすかもしれず、社会の動きを正しく見る事ができません。

 次に現場を見ること。社内の地位が高くなるほど現場から遠ざかり、現場感覚を失いがちです。お客さまとの接点も少なくなりがちです。

 そこで意識して時間を作り、販売の現場や製造の現場へ出て、現場感覚を磨くことが大切です。