「部下が活躍する舞台をつくるのが
上司の仕事」
また、「1on1」を実行せざるを得ない仕組みもつくりました。
「1on1チェック」という仕組みをつくり、1on1の実施状況を可視化しました。
これは、部下の側に、受けた1on1を点数化してもらい、それを上司にデータとして返します。
点数化の指標は「内省効果」「気づき」「キャリア自律」「目標達成・評価」などで、これを3カ月に一回、実施します。
大事なことは点数の高低ではなく、ビフォーとアフターの差です。アセスメントを振り返りの材料にして、クオリティを上げてもらうことがポイントです。
同時に、マネジャーの定義も変えました。
プレイング・マネジャーとして自分が活躍するのではなく、「部下が活躍する舞台をつくるのが上司の仕事」であり、それができない社員は管理職からは外れてもらうというメッセージを示したのです。
部下のマネジメントが向かない人は、無理に管理職にならず、プレイヤーとして十分に才能を発揮する仕事ができればよい、と私たちは考えています。
そのため、ヤフーにとって1on1をうまくできないということは、管理職も不向きであるかもしれないということも繰り返し伝えました。
もちろん、マネジャーすべてが、このような考え方と施策を快く思ったわけではないでしょう。第1回で述べたように、「1on1に時間をとられてほかの業務ができない」とか、「1on1に意味を感じない」などと何度も言われたものです。
それでも、マネジャーは部下の育成をすることが最も大事な仕事であり、その核になるのが1on1である、と繰り返しメッセージを伝えることで、マネジャーたちも考え方を変えざるを得なくなっていきました。
同時に、1on1チェックによって自分の取り組み姿勢と内実を客観視することも、行動の変容につながりました。