宴会になれば真っ先に偉い人のところへ「さあ、どうぞ」とお酌に行く。「部長あっての我が社です!」などと、大声で褒める。聞いているこっちが恥ずかしくなるほどだ。

 見え見えのお世辞なのに、上司たちはまんざらでもない様子である。そんな光景を《まさにピエロだな、ああまでしてよく思われたいのか、》と蔑んだ目で眺めていた。

 ところが、F君はいつも優遇され、一番いいホジションに選出されていた。さらには周囲の協力者にも恵まれ、気持ちよく仕事をしている。結果、誰よりも早く出世した。

 後日、F君からその行為について話を聞いたのだが、「宴会でお酌をするのはたったの5分でいいんだ。それでこれだけのリターンがあるんだからやらなきゃ損だよ」と言っていた。彼はピエロではなく、実にクレバーな人間だったのだ。

自分の信念や習慣を褒められるのは
本当にうれしいものだ

 日本人はとかく褒めることが苦手と言われている。自分の奥さんに「今日もきれいだね」と恥じらいもなく言える人は極めて少ない。とにかく相手を褒めるのは難しいものだ。またわざとらしく褒められることが好きではない人も多いだろう。

 もしあなたが普段はあまり話しをしない人が「いやぁ~今日も素敵ですねぇ」と近寄ってきたらどうだろう?《なんだ?何か裏があるのでは》と警戒するはずだ。褒めるというのもそう簡単ではないのだ。