情報が氾濫する社会で、SNSなどで流される「フェイクニュース(嘘のニュース)」が大きな問題となっているが、では、だれが情報の正確性をチェックすべき責任を負っているのか。国際的な議論を見ると、ニュースの場を提供するプラットフォーム事業者が一義的な責任を負うべきだ、ということのようだ。 このような議論に触発されたわけではないが、シェアリングエコノミーでの、所得の情報把握や、税や社会保険料の負担の責任を誰が持つべきなのか、考えてみたい。

見えない税や社会保険料の負担
プラットフォーム企業が責任を持って

 Facebook、Googleなどの全世界に広がるプラットフォーム事業者は、多大な影響力を持っている。それを背景に、広告などで莫大な収益を上げており、扱う情報コンテンツの品質に責任を持つことは当然で、その負担を負うだけの資金もあるということだろう。この考え方を踏襲すれば、シェアリングエコノミーのビジネスでも、筆者は、税や社会保障で、事業者の「プラットフォーム企業」に、可能な限りの義務や責任を負わせることが必要ではないかと考えている。

 具体的には、プラットフォームに参加して所得を得る者(ウーバーの運転手、民泊のホストなどのネットワーカー)については、各国の税制や社会保障当局へ情報を提供する義務を課すこと、場合によっては、税や社会保険料の源泉徴収義務を負わせることも検討の視野に入れることである。

 より重要なのは、プラットフォーム事業者の責任だ。事業者自らが、事業を行っている地域や国で、適切な租税負担を行うことについても自覚を促す必要がある。 とりわけ筆者が関心を持つのは、4月26日付本コラム(「『働き方改革』はセーフティーネットの議論を置き去りにしている」)で指摘したように、シェアリングエコノミーが拡大し発達するなかで、そのビジネスで所得を得る者に対するセーフティーネットが十分ではないことだ。早急にその対策を講じるべきだという問題意識をもっている。