経営の結びつきが強くなり
問われる人事のあり方

北崎 そうですね。我々PwCも、ピープルアナリティクスに関しては、さまざまな講演を行ったりしていますが、ここ1~2年の間で、企業の関心の「本気度」はかなり変わってきていると感じています。その背景にはグローバル化やテクノロジーの進化など、さまざまな要因が考えられると思いますが、その点についてはどのようにお考えになられていますか。

寺澤 要因の一つとして考えられることとしては、昨今の経営環境の中で人事が担う役割が変化してきていることにあると思います。ビジネスのサイクルが早くなるとともに、経営と人事の結びつきも強くなり、これまでの従業員管理が中心だった人事からビジネスパートナーとしての側面がより高まってきました。その上で、人事が経営にどのように貢献しているのかを示すには、データや数値を持って何がどのように変化したのか説明することが求められます。

 近年話題となっている生産性の向上というテーマ一つとっても、単純に残業時間が減ったことだけを示すのではなく、その過程で何を変え、それがどのような効果につながったのかを提示しなければなりません。今まで人事の業務としてウェイトの大きかった管理の仕事は減っていき、ビジネスパートナーとしてどう貢献しているかが問われるようになります。HRサミットの参加者に人事だけでなく経営企画の方が増えてきた背景には、こういった人事と経営の関係性の変化も関係しているでしょう。

 また、15年の年末から16年にかけては、ピープルアナリティクスやHRテクノロジーに関する書籍が複数発行され、ベンダーサイドでもサービス提供者が増えたことで、市場そのものが活性化してきたと言えるでしょう。

スタートアップ企業の増加により
テクノロジーマーケットが活性化

北崎 人事と経営の距離が近くなり、定量的な説明力を人事が求められるようになったという企業の内的変化に加え、HRテクノロジーに関わる市場が大きくなったという外的変化の双方が作用して、企業側の潜在的なニーズが急速に顕在化してきたということですね。

寺澤 はい。一言でいうならば、サービスを提供する企業が増えたことで、今まで比較的閉じて固定的だった市場が一気に拡がってきたという1年でした。とくに、これまで人事のシステムとは全く関連のなかったスタートアップの企業がとても増えている印象です。サービスの種類が増えたことで、人事側もまずは試してみようという気持ちが生まれ、ベンダーサイドの提案ハードルも以前に比べて下がってきているように思います。