自分で触って蓄積した「データ」を頼りに、
次の売れ筋をつくる

――仕掛けたくなる本の特徴は?

佐藤 月並みですけど、著者名や初版の刷り部数には注意をしています。内容はもちろんですが、その書籍がどれくらいの規模で書店に行き渡っているのか、ということも考慮しますので。

――なるほど、出版社からの情報をこまめに見てくださっているんですね。これをやって成功した、というご経験の中で印象に残っていることってありますか? ビジネス書じゃなくてもいいので(笑)。

佐藤 印象に残っているものですか……。これは青葉台店時代のことですけど、中経出版さんから出ている『頭がよくなる「図解思考」の技術』を売り伸ばしたことです。

 当初この本は、他の店舗でも全然展開していなかったんですが、うちでやらせてほしいと言って展開させてもらって。やってみると結構売れたので、弊社の各店舗にも展開が広がっていって、最終的には全国に波及していきました。自分がきっかけかどうかはわかりませんが、これは印象に残っています。

――どういうところに注目して、「いける!」と思ったんでしょう?

佐藤 いえ、この本の場合は、著者である永田豊志さんの前作が、売れていたんです。『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』のこと。ともにソフトバンククリエイティブ)

 それと、青葉台店は結構「思考術」ものがよく出るお店だったということもあって、「これは是非やらせてほしい」と言ったことを覚えています。フレームワークも図解で載っていて、とても仕掛けやすい本でしたね。

――じゃあ、新刊の案内があったときに、前著の売上のデータをすぐ思い出して?

佐藤 はい。実は僕、あんまり感覚的に仕掛けるのが得意ではなくて(笑)。だから自分の感覚を信じて、というよりも、なるべく数字を見てから、という方がやりやすいんです。

――では、新刊の案内を受けた段階で、著者名や出版社、そして類書の売上などを考慮して、「これは仕掛けてみよう」などと判断されているんですか?

佐藤 「過去に出た本がどのくらい売れているか」とか、「どこで展開してどういう売上だったか」とかですね。やっぱり、自分で触って、売ってきているので。