前回は、「誰に読んでほしいか」「なぜそこに置いているのか」に徹底的にこだわる佐藤祥さんに、「書店員」というお仕事への思いを伺いました。後編の今回は、「ビジネス書の魅力ってどこにあるのか」から「売れそうな書籍をどうやって見分けているのか」まで、語っていただきます!
「仕掛け」と「棚」のバランスをどうとるか?
ビジネス書の魅力を語る
――書店員をやっていて「面白い」と感じるときは?
佐藤 書店員になってよかったな、と思うのは、「出合える本が多い」ということがあります。僕は専門書を扱っている人間ですが、それでも1日に1回、新刊が到着して、仕分ける時間があります。そこでコミックや児童書、文庫など、すべてに目を通すので、「あ、これ面白そうだな」という書籍を見つけることができる。お客さんよりも早くいろんな本を見られる、というのは楽しいです。
――そうやって「出合った本」を読む時間はとれてらっしゃいますか?
佐藤 「積ん読」は100冊以上……(笑)。もはやインテリアの一部ですね。
――相当積んでますね(笑)。では、たくさんの本がある中で、ビジネス書の魅力ってどういうところにあると思われますか?
佐藤 ビジネス書の魅力って、2つあると思うんですよね。仕掛けてドーンと売れることと、棚でしっかり売れていくこと。他のジャンルだってそうじゃないかと言われそうですが、ビジネス書は特にはっきりしている。だから、仕掛けてその反応を見ることも楽しいですし、データを見て棚をつくり込んでいくことも楽しいです。
――両方を楽しんでらっしゃるとは。本のつくり手としても嬉しいです。
佐藤 ホントですよ。ビジネス書って、一般書の要素と専門書の要素の両方があるので、とてもやりがいがあります。
――今も入り口脇のテーブルを使って、単品を大きく展開されていますね。
佐藤 はい。特に渋谷は仕掛けがうまくいくと大きく反応が出る地域なので、そういう意味でも面白いです。