自分たちに求められているのはなにか?
検索機に残されたお客さまの「足あと」を追う
――いま、力を入れて展開されているのはどのあたりでしょう?
佐藤 フェア台をもう少しちゃんとやりたいなと。入り口のテーブルの使い方ももっと研究したいです。
渋谷という土地柄、一見のお客さまもリピーターのお客さまも含めて、多くの方が来店されます。そんな方々に、毎回来るたびに「あ、今日も面白いことやってるな」と思ってもらえるようにしておきたい、そう思ってやっています。
――それは、棚で売っていく本も同じですか?
佐藤 そうです。棚のすべてがそうとは言いませんが、毎回来るたびに違うラインナップになっている、というような棚をどんどんつくっていきたいですね。
ただ、どちらかというと、僕はかちっと型にはめていくのが得意なのですが、そればっかりだと面白みに欠けてしまうんです。だから、これは自分の課題でもあるんですけど、「やりたいからやる」みたいな。そういう「感覚」で商品を選定して展開していく、ということをやっていきたいですね。
――それも、やっぱり来店するお客さまを意識して?
佐藤 はい。渋谷は、20代30代のビジネスパーソンが多いですね。ベンチャー企業で働いている方も多いです。そういう方々を意識しています。
だからこそ、「自分たちから発信していく」ことが大事だと思っています。売れてから追いかけるのでは、もう遅いんです。類書のデータなどをしっかり見るというのも、そうしないとどの新刊を仕掛けるか、ということを判断できないんです。ただ、もっと売り伸ばすためには、先ほど言った「感覚」を研ぎ澄ませる、ということもやっていかないといけないんですけどね。
――十分すごいですよ! ちなみに、渋谷ならではの悩みってありますか?
佐藤 渋谷には書店がたくさんありますので、「なければ違うところで買う」というお客さまが多いんです。
「在庫なし」でお客さまをがっかりさせないために、一つ注意して見ているものがあります。店内にある「BOOKNAVI」という検索機のデータです。データを通して「ブックファースト渋谷文化村通り店」に今何が求められているのか、ということを常に考えています。そこで「在庫なし」の商品が週に5件検索されている、ということがわかれば、すぐに仕入れてみて、反応を見る。そういうことを繰り返しています。
――それもすごい!
佐藤 繰り返しになりますが、書店員のジャンル担当者としての醍醐味が「これだ!」と思ったものをドーンと仕掛けたり、新しい切り口のフェアをやって売り伸ばしたりするところにあることはわかってるんです(笑)。だから、そういうことができるようになりたいんですよね。
※「自分はこてこての文系なんです」と言いながら、データをしっかり分析する姿勢に、頼もしかったです。本を売ると言っても、さまざまなアプローチの仕方があるのだと勉強になりました。お忙しいなか、ありがとうございました!