三菱UFJフィナンシャル・グループがグループ内再編に着手した。多くの金融機関が集まって誕生したメガバンクグループであるが故に今も残る、合併前の旧行の縄張りにメスを入れる経営体制の改革案を実行するものだ。ただ、これが旧行意識との決別なのかどうかを見定めるには、もう少し時間を要しそうだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久、田上貴大)
来年に予定している新たな中期経営計画の策定まで待てない──。そんな危機感が表れた改革案の発表だった。
5月15日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、2017年3月期決算の会見の場で「MUFG再創造イニシアティブ」と呼ぶ、新たな戦略を打ち出した。
注目ポイントは大きく二つ。
一つ目は、グループ内における重複事業の一本化だ。三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行が共に持っていた法人融資事業を銀行側に集約。役割分担を明確化し、事業の効率性向上を図る考えだ。
二つ目は、グループの中核子銀行である三菱東京UFJの名称変更だ。来年4月から「東京」の2文字を取り、「三菱UFJ銀行」として生まれ変わることになる。
この二大改革は、多くの金融機関の集合体であるが故に今も残る、合併時の“妥協の産物”を取り払う作業ともいえる。
一つ目の銀行と信託における重複事業の解消は、三菱UFJFGにとって長年のテーマだったが、信託側が必死の抵抗を見せたため、踏み込み切れずにいた。