新しい消費者に合わせた、新しいビジネスの構築

80周年を迎える日本IBM、企業が長く続く秘訣とは多田洋祐 ビズリーチ取締役 キャリアカンパニー長

多田 実際に顧客体験はどのように変わるのでしょうか。また、IBMにとっては、どういったビジネスチャンスと捉えているのでしょうか?

キャメロン これまでの変化を見てみるとわかると思います。

 そもそも商品を買う「体験」は、地元の商店といったものから始まり、産業革命を経て大量生産、大量消費の時代へ移行し、その後、テクノロジーの進化によって、我々のお客様である企業がより多くの消費者へつながるようになりました。

 そして、企業が消費者につながり、かつそれをコントロールできるようになったときに市場が大きく変わり、「体験」の綱引き合戦が始まったのです。

 例えばAirbnbやUberのように、テクノロジーがお客様の興味や嗜好に合ったものを提供できるようになったことで、様々な競争が起こり、機会とリスクを生み出すことになりました。つまり、お客様体験をコントロールできる人が、既存のお客様の領域に入ってきて、ビジネスを獲得する機会を持つようになったのです。

 そこで、IBMがビジネスコンサルティングの部門を構築した際、人材として「現実主義者」と「反逆者」の両方を集めて、さらに、考える人と実行する人を有するチームを作り、お客様とともに多様な「体験」を創造できるようにしました。たとえばデザイン思考を用いながら、お客様がどういった「体験」を求めているのか、どういったものをよりよい体験として提供できるかを考える機会を提供するのです。

多田 お客様の経営戦略を一緒になって考えるといったことでしょうか?

キャメロン まさにそうです。お客様はIBMと共に、テクノロジーの力を最大限活用し、経営戦略を立案します。そのためにはIBM社員自らも新しい消費者になる必要もあります。

 私自身は毎日のようにApple社のアクティビティトラッカーなどで日々の運動強度、睡眠の時間や深さ、心拍数の変異などの活動履歴をチェックしています。こういった新しい消費者の志向性を「機会」と捉えて、お客様により良いサービスを提供することが大きなチャンスにつながっていくのだと思います。

多田 キャメロンさんから見て、日本でIBMと同業態で、それができている企業は他にありますか。

キャメロン 私は、IBMは社員自体が高いモチベーションを持っているところに差別化要因があり別格だと考えています。IBMで働く人々にはすばらしい能力があると思います。テクノロジーが進化しようとも、人材が会社のカギなのです。