問題は、リストラを進めたうえで東芝が新規の事業開拓などを進め、収益を獲得する力をつけられるか否かだ。まさに、永続的事業体=ゴーイングコンサーンとしての東芝の存続が問われている。

 すでに東芝は、不適切会計問題が発覚して以降の業績悪化を食い止めるために、東芝メディカルシステムズをキヤノンに売却した。医療関連のビジネスは東芝を支える成長分野だった。

 半導体も然りである。世界的に半導体業界は好調だ。中国でのスマートフォン需要の高まり、自動ブレーキなど自動車の安全技術の向上を受けて、半導体産業のの業績はいい。東芝でも、2016年度の業績見通しで、半導体(ストレージ&デバイスソリューション)事業は唯一、増収を確保した。それ以外に売り上げが伸びた事業はない。

 成長事業を切り売りすれば、資金は調達できるが、競争力は失われるだろう。その結果、東芝という日本を代表する企業がどうなるかは冷静に考えるべきだ。

再生のストーリーを描け
経営陣の実力が問われる

 東芝は、インフラ企業としての再出発を目指すという。ただ、一連の問題発覚によって東芝への社会的な信用は失われたといってよいだろう。これまで明らかになったように、海外買収や半導体製造工場の共同運営などの契約に関する認識も甘い。同社の経営を信頼するのは難しい。見方を変えれば、多くの投資家が懸念しているのは、東芝がどう経営を立て直し、株主への価値還元を進めることができるか、再生のストーリーが描けないでいることだ。ゆえに、目先はともかくとして、東芝が徐々に競争力を失い、どこかの時点で上場廃止に追い込まれるのではとの見方は増えやすい。

 東芝が上場廃止を避けるために残された時間は少ない。その中で売却交渉を進めつつ、より明確な再生プランを示すことができるか、経営陣の実力が問われる。そして東芝の上場が維持できるということになれば、再生のラストチャンスを与えられたと言い換えられる。その中で、東芝はステークホルダーから信頼され、認められる企業にならなければならない。

 経営陣をはじめ組織全体が、かなりのスピード感と忍耐をもって変革に取り組まなければならない。新しい企業をゼロから創設し、事業を育成する覚悟が求められる。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)