アジア情勢が緊迫の度を増す中、日米同盟はどこへ向かうのか――ハーバード大のジョセフ・ナイ教授に聞く

ジョセフ・ナイ教授がリチャード・アーミテージ元国務副長官とともに執筆した「第3次アーミテージ・ナイレポート」(2012年)は、オバマ政権の対日政策に大きな影響を与えてきた。トランプ政権下で今後、日米同盟はどのように変化していくのか。ナイ教授に聞いた。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵、インタビューは2017年4月17日)

佐藤 外交・軍事政策について、トランプ大統領に適切な助言をするアドバイザーはいるのでしょうか。

ナイ 特にいないと思いますよ。ただし、ハーバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、ジェームズ・マティス国防長官、レックス・ティラーソン国務長官の3人はバランス感覚がある人たちです。彼らは、選挙キャンペーンで国民に約束した美辞麗句をそのまま実施しようとするトランプ大統領を、より現実的な路線に引き戻す役割を担っていると思います。

佐藤 ナイ教授がリチャード・アーミテージ元国務副長官とともに執筆した「第3次アーミテージ・ナイレポート」(2012年)は、トランプ大統領の対日政策にどの程度影響を及ぼしていると思いますか。