住宅密集地に囲まれた普天間基地の移設は喫緊の課題だ

 沖縄県宜野湾市長選挙で、自民党・公明党の連立与党が全面的に支援した無所属・現職の佐喜真淳氏が当選した。佐喜真氏は米軍普天間飛行場の移設に関して「普天間の固定化は絶対あってはならない」と主張したが、名護市辺野古移設の是非には触れなかった。だが、移設反対を掲げ、翁長雄志知事が推した志村恵一郎氏を大差で退けた。

 安倍晋三首相は、「安全保障に関わることは国全体で決める。一地域の選挙によって決めることはない」と発言していた。選挙結果にかかわらず、普天間飛行場の辺野古への移設を着実に進める意向を示していたわけだが、佐喜真氏の再選で、移設の動きが加速することは間違いない。

 しかし、本稿は「安全保障は国全体が決める」のならば、普天間飛行場を沖縄県外へ移設させるべきだと、改めて主張したい。そして、安倍首相の地元である「米軍岩国飛行場」への移設を、この問題を劇的に解決させる秘策として実現すべきだと考える。

安倍政権は、沖縄基地問題の
変質を軽視すべきではない

 この連載では、2009年の自民党下野、2009-12年の民主党政権期を経て、それ以前とは全く異なる問題に変質してしまった政治課題を取り上げてきた。例えば、「原発の是非」を巡る原発近隣の「住民」とその他「一般国民」の関係が、2011年の東日本大震災・福島第一原発事故を機に、従来と逆転してしまったことである。

 具体的には、従来は「住民」が原発反対で、それを「一般国民」が国策推進の観点から批判するという構図だったことだ。かつて原発建設計画に関する住民投票条例が7市町村で制定され、新潟県巻町(現新潟市、1996年)、同県刈羽町(2001年)、三重県海山町(現紀北町、01年)で投票が行われた。これに対しては、住民以外の一般国民から「国策である原発政策に住民投票はなじまない」「自治体の権限外」との厳しい批判が展開されたものだった。

 しかし、事故後は、雇用の悪化などから早期の原発再稼働を求める地元に対して、それ以外の自治体が原発再稼働反対を訴える正反対の対立構図となった。野田佳彦政権時の大飯原発再稼働に関しては、橋下徹大阪市長や、嘉田由紀子滋賀県知事ら原発再稼働と直接関係がない自治体首長が批判を展開し、大飯原発のある福井県の自治体が、再稼働に肯定的な立場を取ったのだ。

 だが、野田政権は原発を巡る「住民」と「一般国民」の関係逆転の構図に気づかず、従来通りの手法で進めようとしたために、大飯原発再稼働決定に大変な「政治的エネルギー」を費やすことになってしまった(第41回)。