脚が動かなくても、補助器具で「放し飼いシェルター」を走り回る犬たち

石黒謙吾(いしぐろ・けんご)
著述家・編集者 1961年、金沢市生まれ。著書には、映画化された『盲導犬クイールの一生』『2択思考』、“分類王”の『図解でユカイ』他、『エア新書』『短編集 犬がいたから』『どうして? ~犬を愛するすべての人へ』など幅広いジャンルで多数。近刊著書は『分類脳で地アタマが良くなる』。プロデュース・編集した書籍も、ベストセラー『ジワジワ来る○○』(片岡K)、『ナガオカケンメイの考え』(ナガオカケンメイ)、『負け美女』(犬山紙子)、『ネコの吸い方』(坂本美雨)、『犬と、いのち』(渡辺眞子) 『マン盆栽の超情景』(パラダイス山元)など200冊以上。■ブログ http://www.blueorange.co.jp/blog/

石黒 考えて見れば当然とも言えますね。最期まで面倒見られないなら飼ってはいけないというのが、動物と暮らす大前提ですもんね。あ、それと、バルセロナのそこは、ケージや部屋ではなく、放し飼いというのが、のびのびしていていいなあと。理想的ですよね。

本庄 そうなんですが、じゃあ今の日本で実現できるかというと、難しいかもと思います。なによりも広い土地がないといけませんから。狭いと、放し飼いすることで逆に、犬同士の相性問題などでストレスが溜まってくることもありえますし……。

石黒 なるほど! ただ、放されてるからいいということではないと……。普通のペットのドッグランとは考え方を変えなければいけないんですね。

本庄 そもそもが、なにかしらの問題行動があったり、病気やケガだったりと、オーナーさんが飼い切れないで来てる犬たちですから。

石黒 ケガといえば、そうそう、本の表紙になっている犬は、後ろ脚部分に車輪がある補助器具を付けていますね。

本庄 あの放し飼いシェルターには、表紙の犬もそうなんですが、後ろ脚が動かなかったりで、補助器具を付けた犬がたくさんいました。そんな犬たちがいっぱいいて、元気に走り回っているんです!

石黒 写真でも、犬とスタッフのいい表情が伝わってきて、胸を打つものがありますよね、いい意味で。ああ、がんばってるなあ! と。

本庄 写真にもちらっと出てくる黒いラブラドールは、前脚もうまく動かないとのことで、前後で4輪の補助器具なんです。誰かがひもを引っ張ると進めるようになってます。

石黒 工夫されてますねえ。

本庄 1頭1頭の生活の質を高める取り組みをひしひしと感じられました。そして犬たちがいきいきしてるので、行くと元気になって、ああ、また来たいな! って思えるんです。

「放し飼いシェルター」オーナーの女性と、新入りの白い犬。右側には4輪の補助器具を付けた黒いラブラドールレトリーバー(スペイン)