政府は、7月1日、社会保障・税一体改革成案をまとめ、閣議報告を行った。本文が15ページ、別紙1が1ページ、別紙2が7ページ、別紙3が4ページと全体でもわずか27ページしかないので、まずは一読してほしい。何事にもよらず批判する前には、その大前提として相手の言い分を虚心坦懐に聴く必要があることは言うまでもあるまい。

社会保障と税は
なぜ一体改革が必要なのか

 ところで、なぜ社会保障と税の「一体改革」が必要なのか、最初にわが国の財政の現状を確認しておこう。今年度の一般会計予算92兆円のうち税収はわずか41兆円しかない。実に44兆円を将来世代の負担となる借金(公債金収入)に依存せざるを得ない異常事態となっている。

 加えて668兆円の公債残高があり国の借金のレベルとして世界最悪であることは周知の通りである。

 次に92兆円の内訳(使途)を見ると、国債費が22兆円、地方交付税等が17兆円あって、これらは政府の裁量の余地がないので、実際に政府が動かせるお金は実は残りの53兆円しかない。その中で社会保障関係費が29兆円を占めている。その次は文教及び科学振興費の6兆円、公共事業関係費の5兆円、防衛関係費の5兆円が主なものであるから、社会保障関係費の突出振りは明らかであろう。

 しかも社会保障関係費は他の経費と異なり、わが国の少子高齢化に伴って年々確実に肥大していく。過去20年間で歳出はおよそ200兆円弱増加したが、その内150兆円程度は社会保障関係費が占めている。この一事をとっても、社会保障関係費をどうコントロールするかという問題が死命を制するのは明らかであろう。

 要するにわが国の財政の現状を一言で表現すれば「収入(税収)と支出(社会保障関係費)のバランスが崩れている」もしくは「収入の割には社会保障給付に使い過ぎている」ということなのだ。これが社会保障・税の一体改革が必要とされる所以である。

この日本の情況を
「外」からみればどう見えるのか

 人間は自分の姿が一番良く見えない動物である。自分の姿を見るためには、他人に見てもらうことが一番である。これは国や社会、企業についても等しく当てはまる真理であろう。では、外から見たわが国の財政の現状はどうか。