大統領令に署名した後、大統領令を掲げるドナルド・トランプ米大統領Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

政権発足早々から「大転換」
「忘れられてきた人々」の復権約束

 トランプ第2次政権が1月20日に発足。トランプ大統領はパリ協定離脱やWHO(世界保健機関)脱退のほか、メキシコ・カナダへの25%関税実施や中国への10%追加関税検討などを表明。また電気自動車の普及策や石油・ガス掘削の規制の撤廃、政府の「DEI」(多様性・公平性・包摂性)の取り組み終了など、前政権の政策を覆す大量の大統領令に署名するなど、新政権での大幅な政策転換に踏み出した。

 トランプ大統領は就任演説で、改めて「米国第一」を強調、さらには「常識の革命を始める」「米国が(外国に)これ以上つけ込まれることはない」とも語り、演説の多くを移民やエネルギー、インフレなどの国内問題に費やし、国際協調路線を敷いたバイデン前政権に対し「内向き志向」を鮮明にした。

 演説の基調は「これまで忘れられてきた人々」に向けて語り掛け、「その復権を約束する政権」を強調するもので、忘れられた人々の復権の裏側にある反エスタブリッシュメント、反グローバリゼーションの色彩が盛り込まれている。

 長く主流となってきた新自由主義的な市場重視の経済政策や、理念主導の既成エリート政治への支持者らの反発を反映したものといえるが、一連の政策が今後、どういう形で結実するのかは見通しにくい。