「米国経済作り替え」目指すトランプ構想、底流に新自由主義不信と反グローバリズムPhoto:Win McNamee/gettyimages

製造業再構築や「小さな政府」実現で
関税を最重視、歳出削減が予想以上に進む可能性

 トランプ政権の発足後、世界に混乱や波紋を広げながら打ち出された各種政策の経済への影響について、エコノミストや市場は再計算を余儀なくされている。

 3月26日には、トランプ大統領は日本を含むすべての貿易相手国からの自動車への25%関税発動
を表明したが、中国だけでなくメキシコやカナダなど緊密な関係にある国まで対象にした関税政策の「本気度」が改めて認識されつつあることに加え、トランプ減税継続など拡張方向と目されていた財政政策のスタンスはむしろ歳出削減の動きが先行していることなどが要因だ。

 とりわけ関税政策は国内製造業の基盤再構築や「小さな政府」実現のための手段として重視され、一方で従来のバイデン前政権への財政拡張路線への嫌悪から財政支出削減が予想されていた以上に大きくなる可能性がある。

 トランプ政権内やその政策には、トランプコア支持層の声を反映した新自由主義への失望と歳出削減や規制緩和などの「小さな政府」を志向する親リバタリアン的な発想が混在し意図をわかりづらくしているが、この約3カ月に打ち出された政策で見えてきたのは、国内の産業基盤の再構築、「反グローバリズム」を軸に米経済を作り替えるという“大構想”だ。