すなわち、人の一生には浮き沈みがある。所得の多い時期もあれば少ない時期もあろう。しかし、仮にいくら稼いだとしても、現実にはそのお金を使って消費しなければ、楽しい人生を送ることは誰にもできやしない。このように人間の一生を素直に見据えれば、消費税こそがすべての人に対して公平な税であると実感できる、という考え方である。この場合、貧しい人には給付によって報いるという方法になろう。

 このような考え方に立脚したとしても、わが国では高所得者には累進的に所得税が課せられているのであるから、所得の再配分機能が損なわれる心配はない。さらに付言すれば、相続税を100%の方向で、若い世代に対する贈与税を0%の方向で再構築すれば世代間の再分配機能についても心配する必要がなくなると考えるがどうか。

わが国は小さい政府である

 次に、増税の前に歳出を徹底して見直すべきだという主張が寄せられる。それはその通りだろう。だからこそ最大の歳出項目である社会保障との一体改革なのだ。もちろん、その他の経費についても税金の無駄使いは許されない。筆者は6月14日の当コラムで参議院は1年の時間をかけて決算内容を徹底精査せよと主張した。しかし、社会保障を除いたその他の経費は合計しても24兆円しかない。数字の多寡をしっかりと押さえなければ、およそ実効性のある議論はできないということを銘記しなければならない。

 歳出の無駄のスケープゴートとして、常に槍玉に上がるのが役人であり霞が関だ。役人・霞が関バッシングほど、わが国で喝采を浴びているものは他にはないと言っても過言ではないかも知れない。「大きい政府から小さい政府へ」という耳ざわりの良いスローガンもよく聞かされる。

 これについても数字で考えて見よう。GDPに占める政府最終支出のうち、人件費の占める割合を見ると(2009年、OECD及び内閣府)、わが国は6.4%、アメリカが11.0%、英国が12.1%、ドイツが7.4%、フランスが13.3%となっており、わが国はすでにこれら5ヵ国の中では最も小さい政府を実現しているということになる。なお、公務員数の国際比較については、野村総合研究所のレポート(2005年11月)があるが、それによると国と地方を合わせた人口1000人あたりの公務員数は日本の42.2人に対して、アメリカが73.9人、英国が78.3人、ドイツが69.6人、フランスが95.8人となっており、ここでもわが国が小さい政府であることが実証されている。