8日行われた米上院でのコミー前FBI長官の「証言」は、トランプ大統領のロシア疑惑捜査への苛立ちと「司法妨害」を疑わせるのに十分な内容だった。捜査はまだ初期段階だが、トランプ政権には大きな打撃となり、大統領弾劾が現実味を帯びてきた。朝日新聞の尾形聡彦記者がレポートする。
トランプ大統領の言葉を「私は、指示(Direction)だと受け止めた」
日本時間の8日深夜、米上院情報委員会の公聴会で2時間半にわたって証言した米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官はこう明言した。フリン・前国家安全保障アドバイザーの件を「やりすごしてくれるように望む」という2月のトランプ氏の言葉を、FBI長官だった自分に対する「指示」だと思ったというコミー氏の話は、生々しく具体的だった。
大統領弾劾の手続きは、議会が担う政治的なプロセスで、与野党の議会構成や世論に左右されるだけに、どちらに転ぶのかはわからない。ただ、重要なのは、大統領弾劾の対象となる罪があるかどうかだ。
コミー証言は、大統領による「司法妨害」を疑わせるのに十分な内容で、今後のロシア疑惑の捜査の行方に大きな影響を与えるものになったと思う。