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企業がIT機器をお得に導入するために、
知っておきたい税制の基礎知識

パソコン、クラウド、スマホ…使える税制はどれ?

宮口貴志 [KaikeiZine編集長]
【第1回】 2011年7月14日
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 ただし、消費税の取り扱いの問題で少しだけ注意が必要です。それは会社の会計処理が「税込み」方式か「税抜き」方式をしているかで判断が違ってくるからです。たとえば、税込み30万4500円(税抜価格29万円)のパソコンを購入したとします。このとき、税込経理方式の場合は30万4500円が取得価格とされるので「30万円コース」は使えません。しかし、税抜経理方式の会計処理をしているのなら取得価格は29万円と判定されるため「30万円コース」が利用できます。

企業が「クラウド」や「スマートフォン」を購入するとどうなるか

 さて、ここで最近とくに利用が伸びているといわれる「クラウドコンピューティング」や「i-Phone」からブームに火がついた「スマートフォン」について、企業が利用・購入した場合の会計処理について考えてみましょう。

 まず「クラウド」や「SaaS」、その他の「ASPサービス」は、システムを借り受けて利用している感覚があるので、リースではないかと思われがちですが、実態としての商品のリースがあるわけではなく、毎月の使用料や従量制料金が発生すること、また、基本的にいつでも解約できるためリース会計は適用されません。

 ということで、単にシステム利用料として経費計上(全額損金として扱う)するだけでよいものと思われます。つまり、これらのサービスは、商品を一定期間資産として保有するわけではないため、このように扱うのが実務家の間では一般的のようです。

 かたやスマートフォンは、IT機器ではなく「携帯電話」なので、減価償却資産(法令13)である電気通信施設利用権として取り扱われます(法基通7-1-9)。具体的には、携帯電話に加入する際には、加入者は契約事務手数料を支払うこととなりますが、この手数料は、原則として「電気通信施設利用権」の取得価額として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却することとなります。ちなみに「電気通信施設利用権」の耐用年数は20年(耐令別表三)とかなり長期です。

 しかし、法人税法では契約事務手数料が10万円未満(少額減価償却資産)である場合には、その権利を取得して事業で使用した事業年度にその取得価額の全額を損金算入することができます(法令133)。よって、前述のような面倒な事務所処理は行わず、さきほどお話しした「10万円コース」を利用して一括償却するのが一般的です。

 ただ実際のところ、スマートフォンやタブレットPC(電話機能付き)は、厳密にいえば電話なのか、パソコンなのか判断がつきません。今のところ税務当局も明確に取り扱いを示しているわけでなく、とりあえずは納税者の判断に任せているのが現状です。

 つまり、納税者の「理由づけ」が判断基準であり、電話なのかパソコンなのかの取り扱いは、会社によって異なります。しかし、この手のものは少額なので事務の手間を考えて「10万円コース」を使って備品同様に処理することが多いのです。

 ―― 税金の話はたしかに難しくなりがちですし、そのために顧問税理士さんと契約している企業が多いこととは思いますが、厳しい経営環境下、専門家とより中身の濃い話し合いをするためにも、以上のような基本的な考え方を知っておくとよいかもしれません。

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宮口貴志
[KaikeiZine編集長]

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長を務める。
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