年下上司が意外と頭を悩ませる職場の飲み会。コミュニケーションを図って、メンバーの士気を高めたいが、どうしても年上部下に気を使ってしまう。上座に座ってもらうべきか、どんな話題を振ればいいのか……? 連載最終回は、職場を元気にする飲み会のルールを紹介する。

ルール1
話題は慎重に選ぶ

「40代の年上部下は、会議をそ知らぬ顔ですっぽかしたり、社内でのネゴを怠って大切なクライアント相手に平気で納期トラブルを起こしたりするんです。他のメンバーと口を聞くこともなく、チームでも浮いた存在になってしまっています」

 こう話してくれたのは、メーカーの営業部でマネジャーを務める30代前半の年下上司です。

「なんとかコミュニケーションを図ろうと、飲み会を開いたのですが……。結局、ひと言もしゃべってくれないどころか、何かが気に障ったのか、断りもなしに途中で帰ってしまいました。本当に何を考えているのかわかりません」

 上司としてメンバーの士気を高めたい。そんなときに、飲み会を開くこともあるでしょう。その際、注意したいのが「話題の選び方」です。

 企業の元気度は「飲み会と会議に表れる」と三菱総研の松田智生さんは言います。松田さんは、三菱総研が主催するプラチナ社会研究会で、高齢化・環境問題などを解決する新産業創造に携わり、元気なシニアに数多く接した経験から、ミドルマネジャーに対して、示唆に富む数々の提案をしています。

 職業柄、さまざまな企業や官公庁の人と接点のある松田さんによれば、コミュニケーションがとれていて、建設的で活発な議論が交わされている良い職場の飲み会には、次の3つの要素があるといいます。

①飲み会に参加する人数が多い
 強制されずとも、若手社員からベテラン社員まで、幅広い年齢層が参加する傾向が見られます。

②夢のある、未来志向の議論がなされている
 たとえば、「うちの部署はこうあるべきなのでは」「ベンチャーが入ってきたらどうなるんだ」といった、「未来」や「外向き」の良い意味で青臭い議論が交わされます。

③職位や年齢を問わず意見交換が活発
 上司部下の役割のとらわれず、若手の青臭い意見にも上司が説教したりせず、真剣に耳を傾ける光景が見られます。

 それに対し、議論が不活発で、責任を取る人が誰もいないような職場の飲み会は、次の3つのような特徴があります。

①出席率が低い
 毎回、同じ顔ぶればかりで、一次会だけ出席してサっと帰るなど、明らかに飲み会を避けている様子が目立ちます。

②話題が過去の話に終始する
 「若いときは、土下座をして仕事をとった」という上司の自慢話やグチ、あるいは人事に関する「過去」で「内向き」の話題が圧倒的多数。「うちの部署でこんなことできませんかね」と若手が発言しようものなら、「お前はわかってない」と説教されてしまいます。

③上司や年長者が発言する機会が多い
 上司や年長者が一方的に話すのを、若手がうなずきながら聞いているだけというパターンが多いそうです。

 週に1回、2~3時間飲めば、月10時間程度、年間120時間も話し合っている計算になります。社員同士でこれだけ討議するというのは、社運を賭けた一大プロジェクトでもない限りありえません。

 飲み会の時間を最大限に活かすためにも、上司は飲み会のファシリテーターとして、「未来」や「外向き」の話題を選ぶようにすべきです(参考:飲み会不活性原因上司 三菱総研 松田智生)。