中国国内のプロサッカーのトップリーグであるスーパーリーグで広州富力というチームが戦っている。監督に名古屋でのプレー歴があるストイコビッチ氏を擁する富力に日本人のコーチが所属している。喜熨斗勝史(きのし・かつひと)さんだ。湘南や名古屋での指導経験を持つ喜熨斗さんに中国のサッカー事情と中国の若い世代について語ってもらった。(フリーライター 江藤高志、文中敬称略)

日本でも活躍したストイコビッチ氏(中央)が監督を務める広州富力で、喜熨斗勝史氏(左隣)はコーチを務める

中国サッカー
有力選手爆買いの背景

 中国のクラブチームは、いわゆる“爆買い”によって有力選手を獲得してきた。何十億という大金をつぎ込むのは、国策としてサッカーの発展に取り組んでいるからで、さらに人材育成の観点があったからできたのだと喜熨斗はいう。

「中国は今サッカーを強くするだけでなく、サッカーを使って子どもたちを育成し、世界で戦える人材を輩出しようとしています。過去には英語教育やバスケットボールなどを国策として広めました。習近平総書記がサッカーを好きだということもあるようですが、集団スポーツですし、いいのではないかということのようです」

 中国サッカー界は当初、有力選手の獲得によりクラブを強化しようとした。

「それでACL(AFCチャンピオンズリーグ・アジア地区の最強クラブを決める国際大会)で勝ったり国のランキングが上がれば注目されることになる。トップリーグのレベルが上がればボトムアップするだろうと考えたわけです」

 Jリーグ開幕直後の日本サッカー界も似たような環境にあったが、中国のそれはスケールが違っている。なぜそうした爆買いが可能なのかというと、チームに企業が付いているからだ。