中国が国策としてサッカーの強化に力を入れることが明らかになった。
習近平国家主席が最高責任者を務める中央改革全面深化指導小組という組織がある。政治や経済など国家の重要分野の改革を討議する場だが、ここで2月末、自国のサッカー改革が優先課題として取り上げられた。
この決定に基づいて習政権は先週、「サッカー改革発展マスタープラン」を発表した。プランの内容は次のようなものだ。
現在、中国には体育の授業にサッカーを採用している小中高校が約5000校あるが、それを2025年までの10年あまりで10倍の5万校に増やす。競技人口の底辺を広げ、才能ある選手を発掘しやすくしようというわけだ。また、中国サッカー協会を、スポーツ政策を統轄している国家体育総局から独立させ、権限を強化させることや代表チーム専用のトレーニングセンターを2カ所新設することも盛り込まれている。このプランにかける予算は明らかになっていないが、ばく大な費用がかかるはずである。
なぜ、いきなり中国がサッカーの強化に力を入れることになったのか。
習近平氏は大のサッカーファン
メジャー競技の強化で国威発揚!?
実は習国家主席が大のサッカーファンなのだ。中国スポーツの競技力は着実に伸びていて、五輪や世界選手権などでメダルを量産している。自国開催だった2008年北京五輪の金メダル獲得数は36個だったアメリカを大きく上まわる51個で世界1位になった。2012年ロンドン五輪でも金メダル数、メダル総数はアメリカに次いで2位だった。
だが、強いのは卓球、体操、飛込み、重量挙げ、射撃、バドミントンといった、どちらかというと地味な競技ばかりで、世界各国が強化に力を入れ注目度も高く、しかも自分が大好きなサッカーで自国の代表チームが好成績を収められないのは残念でたまらないらしい。メジャー競技でトップレベルになってこそ世界を代表するスポーツ強国。そんな思いもあって、自国サッカーの実力アップを促してW杯の常連となり、いずれはW杯を自国開催し、優勝を争えるまでにしたいというのが習氏の夢らしいのだ。