官房長官の午前と午後の記者会見は権力の透明性を保つ観点から重要な機会であるが、ここに出席し質問をする記者は、政策について十分に習熟し経験豊富な記者である必要があるだろう。米国ホワイトハウスに集まる記者は老獪な専門家である。メディアは権力の番人でなければならない。

 第二に、強い官邸の力をバランスさせる政治の対抗力が必要で、政策立案について緊張関係が保たれるべきなのだろう。野党はもちろんだが、自民党の政策立案プロセスを強化することも必要であろう。

 また、各省の大臣は、各省の議論を事務次官以下に任せるのではなく、自身が閣僚レベルの会議や官邸との関係で議論をしていく事がより頻繁に起こるべきなのだろう。官僚は大臣に守られていることがプロフェッショナリズムに徹することができる重要な要件である。

 第三に、強い政治権力自身の認識の問題である。権力の側には異論を聞く寛容性がなければならないし、異論を述べる官僚が更迭されていくようなことがあってはなるまい。 人事の公平性は担保されなければならず、少なくとも官邸に上げられる人事案を変更する場合には、適正な理由がその省庁に開示されるべきだろう。

厳しくなる内外の環境
「忖度」がまかり通る環境でない時代に

 これから日本を取り巻く内外の環境は一層厳しくなる。

 少子高齢化・人口減少・成長率の減少などの国内課題や、対米・対中・対韓・対露など日本の将来を変えかねない東アジア諸国との関係など、真剣に議論し、戦略を立てていかねばならない。

 もはや「忖度」がまかり通るような環境ではない事だけは明らかである。政治家が、官僚が、ジャーナリストが、そして国民一人ひとりが問題の本質を見誤らずに行動することを期待したい。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)