上海の英国企業に勤務する女性は、「100人規模の会社ですが、毎週誰かが日本を旅行しています」と話す。彼女自身は卓球の丹羽孝希選手の“追っかけ”で、「応援しているのは中国選手じゃなくて日本の選手なの」と耳打ちする。先日も卓球ジャパンオープンの観戦を目的に、わざわざ有給休暇をとって来日したという。

上海人の意識は
「日本を凌駕した」

 つい先日も、上海で長期にわたって日系企業で働く中国人の友人と食事を共にしたが、話題は終始「上海自慢」だった。会うたびに中国生活の不満ばかりをこぼしていた彼女の考え方も激変していた。

「上海はすばらしい。上海のように“いい生活”ができる都市ってほかにあるかしら?」

高層ビルに写し出された「I♥SH」の電飾文字 Photo by M.E

 彼女の言葉の裏には、上海経済への再評価がある。雇用もあり、お手伝いさんがいて夫婦共働きが実現し、安定した収入を得ながら週末には家族で外食を存分に楽しめるのが今の上海だという。確かに、中間層以上の生活者にとっては「パラダイス」なのかもしれない。

 その一方で、「日本人の生活は豊かだと言えるんでしょうか」と訴える。彼女の中には「上海人の生活は、すでに日本人の生活を超えた」という意識があるようだ。

 夕暮れ時が迫ってくると、外灘から眺める陸家嘴金融街の高層ビル群に映し出されるのは「I♥SH」の電飾文字だ。上海市政府も、最近は「魅力ある上海」の広告宣伝に力を入れている。「上海ブランド」を打ち出したいという思惑があるのだろうか、上海を過度に評価する“やらせ記事”も目に付くが、それにしても「超高速で変化している事実」は否定できない。それは、前回の拙筆でお伝えした通りだ。