●CHECK POINT1●
業績が伸びている会社を選ぼう!
→今期の予想が増収増益ならOK!

 「優待が目的であっても、株式投資ということには変わりありません。株価下落のリスクを避けるため、購入前に必ず業績を確認してくださいね」と野尻さん。

 「まずは売上高と営業利益を見て、今期予想が増収増益であるかどうかをチェックし、併せて配当予想も見ておきましょう。大震災後の今でも強い予想を出せている銘柄には、安心感があります」(野尻さん)

 逆に、赤字予想の企業は優待廃止の可能性があるため、基本的には避けるべきと言う。「売上高、営業利益ともに順調に伸びてきている企業が望ましいので、業績を確認するときは、前期との比較に加えて、2~3期前からの推移も見ておくといいでしょう」(野尻さん)

→震災後の状況をHPのIR欄で確認!
「HPなどで被害状況と業績への影響を確認しておくことも重要です。業績予想が非開示の企業については、予想が出るまで、株を買うのを待ったほうが無難です」(野尻さん)。

●CHECK POINT2●
権利落ちの後の株価が安い時期に買おう!
→過去1年間くらいの週足をチェックし、
「RSI」が25%以下なら売られすぎでチャンス!

 銘柄の高値づかみを避けるには、まずは権利確定日直前に買わないこと。「優待を1回見逃すことになりますが、権利落ち後は株価がガクッと下がる銘柄が多いので買いやすくなります」と野尻さん。

 また、ローソク足やテクニカルチャートを見て、株価が安い時期を狙うことも重要だ。「一般的にRSIが25%以下になると売られすぎといわれています。そして、業績や経営計画に変更がないかを確認して購入を検討するといいでしょう」(野尻さん)。

RSIはヤフー・ファイナンスなどで見られる。


<お話を聞いたのは>
野尻美江子さん
ファイナンシャルリサーチFP。書店勤務を経て現職。丁寧な解説に定評があり、様々な媒体で活躍。


◆優待情報のスペシャリストに聞く!震災の影響は?◆

 「IRマガジン」編集室の福島英貴さんによると、現状、震災の影響で優待を廃止した企業はない。むしろ「優待を実施する企業の数は08年以降減少傾向でしたが、今年は増加しました」と福島さんは語る。

 ほか、震災後、優待の選択肢に義援金の寄付を追加したり、優待券の利用期限を延ばしたりする企業も。


(取材・文/肥後紀子)


ダイヤモンド・ザイ2011年9月号に掲載。特集は「買いの電力株5&高配当株20」。そのほか「読者20人の毎月分配型ファンドの損得をメッタ斬り!」「新興国株&資源の買い方・売り方」なども掲載。特別付録は全1033銘柄を完全掲載した「株主優待大カタログ2011」。