とかく学力を想起されるハーバード・ビジネススクールの「熱い」素顔を紹介する本連載。今回は、パーティー文化を紹介する。世界各国の自信家たちが集まる「呑み会」は、異国文化の交流の場だけではなく、お国自慢の場でもあるのだ。「ハーバードの宴会部長」を自負する『パンツを脱ぐ勇気』の著者が語ります。
ハーバードでは授業だけで
プレゼンスを高めることはできない
ハーバード・ビジネススクールは、成績下位数パーセントは強制的に退学になる仕組みで、世界数あるMBAで一番勉強が厳しいと恐れられている。しかし、その真骨頂は、それでも社交の場も手を抜かない文化にある。
第3回で紹介したとおり、ケーススタディーという、生徒同士が自分の考えや体験をあますところなく恥ずかしがらずにパンツを脱いで共有しなければならないクラスの性質上、クラスみんなが普通以上に強固な結束を作らなくてはならない。だから社交の場がおのずと多くなるわけだ。これは「セクション」(クラス)の中だけの話ではない。大掛かりな年間行事にもなっている全校のパーティーや、大小さまざまな催しが局所的に行われたりする。
日本の留学生は大人しく見られがちだが、僕たち2006年卒業組は、日本人で4人目のベイカースカラー(最優秀生徒賞)を受賞した異才・岩瀬大輔(弊著では「東大三号」と紹介)を筆頭に「あいつら、なかなかクラスでいいこと言うな」と授業でもなかなか鋭い貢献をしていた。
一方で、元総合商社のユウスケやキミ、元証券会社のタケといった営業マンを中心に、夜の活動においてもさまざまなイニシアティブを取っていた。意外にゴウキという東大出身の官僚(同じく「東大二号」と紹介)が夜の部は苦手そうだと思いきや、実は料理の達人であったり、タケが元寿司職人見習いだったりと、各々が特技を持ち質の高いパーティーを数多く開くことができた。
超大掛かりな寿司パーティーを開いたこともある。頼まれるわけではないのに、そういうパーティーを開く「前例」や「慣習」があるわけでもないのに積極的に「勝手に」開くのが大事なのだ。そういう意味で僕たち日本人軍団は積極的に外国人の生徒達に交じりプレゼンスを高めていった。