世界最高峰のMBAと言われるハーバード・ビジネススクールの素顔を紹介する本連載。今回は、クラス対抗の駄菓子選手権。クラス代表として出場することになった著者は、事前の対策と練習を万全にこなし当日を迎えたのだが…。

教室はまるで日本の小学校のよう。
そして、クラス対抗戦が行われる

 毎年ハーバード・ビジネススクールに入学する約900人の生徒は10個の「セクション」(日本でいうクラス)に分けられる。したがって1セクション90人の学級ができる。1年目の授業はすべて必修科目で、同じメンバーで毎日授業を受ける。さらに学生は年間を通じて同じ席に座らされ、自分の目の前に自分の名前を大きく書いたプレート(名札)を置かされる。「セクション」はまるで小学校の学級みたいだ。

 この学校の授業はすべてディスカッション形式で行われる。教授はクラスの議論の方向を決める水先案内人(ファシリテイター)に徹して、なんと教授は直接的には何も教えようとしない。学生が教授に質問しても、「私に聞かれても困る。誰かわかる人」と他の学生に質問を答えさせる。つまり、生徒同士がお互いの知識や考えを発言することにより気づきあい、教えあい、一緒になって学んでいくのだ。

 そんな独特な学び舎で最も大事なことはなにか。それは90人のセクション員がクラスの中ではベローンとパンツを脱いで自らの考えや時には恥ずかしい体験までをも正直に、そして積極的に共有していくことにある。

 そして、その授業を支えるために必要なことは90人が滅茶苦茶仲がよくなる、ということなのだ。

 したがって、学校自体も主体となって強烈に「セクション仲良し化」計画に取り組む。いろいろな会食や催し物を創り出すだけでなく、他のセクションと競い合わせることにより自らのセクションへの愛を高めさせる。

 そんな数あるセクションの絆を深めるイベントの一つが「セクション・オリンピック」だ。その名の通り、団体競技やさまざまな面白競争をセクション対抗で戦い抜くのだ。

 かなり白熱して、相当な熱を持って取り組まれる。