今年4月に承認申請されたポテリジェント抗体第1号の「KW‐0761」は、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の治療薬を目指している。抗がん剤治療の後に再燃(再発)したATL患者が対象の臨床試験では、奏功率50%、平均生存期間13.7ヵ月だった。発症後の平均余命が半年~1年の難治がんだけに国内外で注目を集め、関係者からの問い合わせが相次いだ。

 もう一つユニークな点がある。自社の創薬技術は懐で守るのが当然の医薬業界にあって、同社はポテリジェント関連技術をプラットフォームとして整備、大手を含め、国内外の18社と技術アライアンス契約を締結している。良質の開発基盤を他の企業とシェアすることで、多種多様の抗体医薬が活躍する場を広げたい考えだ。現在、臨床試験中のポテリジェント抗体は自社製4、国内外の他社製7の合計11。疾病領域も多岐にわたる。

 創薬の拡大と効率化は医療と患者の利益に直結する。かつて、ウィンドウズがITを変えたように、共通基盤から予期せぬ相乗効果が生まれることを期待したい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)