TOIECは900点以上、英語のプレゼンや会議はお手のもの、外国人ビジネスマンからどんな質問が来てもスラスラと回答するというビジネス英語の達人でも「ホームパーティーや会食は極めて苦手」という日本人ビジネスマンは少なくない。なぜ、苦手なのか、その理由について解説しよう。(アクセンチュア マネジング・ディレクター 中野豊明)

ネイティブと英語で交渉する達人が
パーティーを嫌う理由

 私が勤務する外資系コンサルティング会社、アクセンチュアには世界で約40万人の社員がおり、日々の仕事で世界中の同僚と常に英語でコミュニケーションを取りながら仕事を進めている。このようにグローバルな環境で仕事をしていると、時に強烈に日本の独自性を感じることがある。

 現在、私はシカゴ出張中で、2日間に渡るクライアントとの打ち合わせを終えたところである。この出張中にも「世界の中の日本」を痛感する出来事があったので、今日はそのテーマを中心に話を進めたい。一体、その出来事とは何か?

 皆さんは、自分自身や周りの人が、海外出張の際、プレゼンやビジネス交渉をする時には流暢に英語を話していたのに、同じメンバーとの夜の会食の席ではとたんに無口になってしまった、という経験はないだろうか。

 Aさんは、海外留学の経験がありTOIECは900点以上、英語のプレゼンや会議はお手のもの、どんな質問が来てもスラスラと回答し、少し英語が苦手な上司から頼りにされるほどの存在である。ある時は英語で契約交渉を行い、ネイティブのタフネゴシエーターから思い通りの譲歩を引き出すこともしばしばある。

 まさしく誰もが認めるほど仕事ができて英語は非常に達者なAさんだが、夜の席では一転しておとなしい。「どうした」と聞くと「さすがに疲れました」という返事。