私が本当に携帯電話を取り出し、警察に電話し始めたのを見て、タクシーの運転手を始め、バスの運転手、そしてチンピラ同然のガイドらも慌てて車に乗り込み、すぐにバックして、あっという間に現場を去っていった。

 10分後、知らせを受けた若い警官が自転車でやってきた。私は、「ここの秩序を守るため、もう少し真面目にやってもらわないと困る。これではまるで無法地帯のようなものだ」と文句を言った。若い警官は困った表情を浮かべて、「私は一巡査なので、ご意見は上の者に報告するが、その他の約束はできない」と小声で言い訳した。

 チンピラのような運転手やガイドが横行し、無法地帯のような状態に陥った銀座8丁目。観光客の急増により、銀座は品格以前の問題を抱え込んでしまった。

 これだけ観光客が増えれば、休憩用のベンチや、休憩所を兼ねたトラベルインフォメーションセンターのような施設の設置も考えないといけないのではないか。少なくとも警官1人ぐらいは、常時回るような体制を先に作るべきで、行政にも本腰を入れて考えてほしいものである。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)