政府がまとめ、6月に発表した「経済財政運営と改革の基本方針2017」、通称「骨太の方針」から、「デフレ」の文字が消えた。政府が「戦後初めてのデフレ」と宣言してから16年、実際に物価の下落が始まった90年代後半から数えると約20年が経つ。なぜこのタイミングで消えたのか、そして本当にデフレではなくなったのだろうか。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)
「骨太の方針」から消えた
「デフレ」の文字
その時々の経済情勢に対して政策の取り組みや課題を示す「骨太の方針」では、これまで「デフレ脱却を確実なものにする」(15年)、「デフレ脱却に向けて大きく前進」(16年)と記すなど、“デフレ退治”が政策の中心に据えられてきた。
それが17年の骨太の方針では、「デフレ」の文字が消滅、政策からも消えた形だ。じつは、毎月の経済情勢を判断する「月例経済報告」でも、2013年12月からデフレの文字は消えている。
こうした背景について内閣府は、「この1年余り、消費者物価指数が前年を下回ることはなく、物価が持続的に下落する状況ではなくなった。つまり、デフレは終わったという認識だ」と話す。
確かに、2012年12月からの景気拡大局面は戦後3番目の長さになり、需給ギャップや雇用の指標も改善している。デフレの時代は終わったかに見える。