「氷上のアクトレス」と呼ばれ、日本中のスポーツファンを虜にした選手がいる。女子フィギュアスケートの村主章枝さん、目下現役最年長のフィギュアスケーターだ。世界的な大会で数々の輝かしい成績を残した村主さんは、昨年、企業PRやアスリートのマネジメントを手がけるサニーサイドアップに入社。現在は会社員として働きながら、スケーターとしても活動を続けている。彼女はなぜ、ビジネスの世界へ飛び込んだのか、そしてなぜスケートを続けるのか。近況と将来の目標について、詳しく聞いた。彼女の言葉は、同世代のキャリアウーマンたちが人生を問い直す上で参考にすべき、多くの示唆に富んでいる。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)

やはり自分はスケートを続けたい
現役続行のために一般企業の門を叩いた

すぐり・ふみえ/1980年生まれ。千葉県出身、横浜在住。早稲田大学卒。6歳からフィギュアスケートを始め、92年全日本ジュニア選手権初出場、94年ガルデナスプリング杯で国際大会デビュー。97年全日本選手権で全日本女王となり、日本のフィギュアスケート界を代表する存在の1人に。その後、2002年ソルトレイクシティ五輪5位、03年グランプリファイナル優勝、06年トリノ五輪4位、世界選手権2位と活躍。四大陸選手権では3回優勝。表現力の豊かさに定評があり、「氷上のアクトレス」と称される。10年サニーサイドアップのスポーツマーケティング事業部へ一般社員として入社。スポーツビジネスの企画業務に邁進する傍ら、スケーターとしての活動を続ける。現在のスポンサーは株式会社陽進堂。
Photo by Toshiaki Usami

――村主さんは、日本を代表するフィギュアスケート選手の1人として、数々の実績を残してきました。 現在は、サニーサイドアップで一般社員として働きながら、スケーターとしての活動を続けていると聞きます。新しい人生を歩み始めたきっかけは何ですか。

 フィギュアスケートは活動資金がかかるため、これまで両親に資金援助をしてもらっていましたが、そろそろ頼ってばかりはいられない状況になっていました。2010年冬のバンクーバー五輪の選考に落ちてしまったことを機に、「スケートを止めるべきか、それとも続けるべきか」と悩みました。

 だけど自分としては、やはりスケートを続けたい気持ちが強かった。そこで、「自分で働いて資金を何とかできる限りは、スケートを続けよう」と決心し、現役続行会見を開きました。

 サニーサイドアップとの出会いは、そんなときでした。この会社は、サッカーの中田英寿選手をはじめ、アスリートのマネジメントに定評があります。また私自身、スポーツ関連のビジネスに興味がありました。

 会社を訪れて面接を受けたところ、運よく次原悦子社長がいらっしゃって、採用していただいたのです。次原社長はこの業界の有名人で、すごくパワフルな方。私は社長に救っていただいたと思っています。